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Sculpture

作る力で理想の世界をリアルにする

思い描いたものをカタチにできる柔軟なモノづくり。立体物として目の前に表れた時の驚きと喜び。人類が何万年の中で培った知恵と伝統的な技法から、進化していく先端的な現代美術や3Dデジタル表現まで、様々な技術を使って、イメージやコンセプトに質量と奥行きを与えていきます。理想の世界が立ち上がる瞬間の感動は周囲に拡がり、この世界を楽しく彩るでしょう。これからの社会を面白くするためには、AIやデジタル?ツールなどの効率性にアートの創造性を加えることが不可欠です。素材に触れ、手でカタチを作ることで、想像を超えた多くの発見とアイデアが生まれます。作る力を身につけて、未来を切り開いていきましょう。

Feature

特徴

自由に素材を選びながら専門的に学べる立体工房

塑造(粘土での造形)、石彫、金属彫刻、木彫、樹脂、3D CADなど、基本的な技法を一通り学んだのちは自分の方向性に合わせて素材を自由に選択して表現力を磨いていきます。広く充実した立体工房を使いながら、作家として活躍する専門スタッフの指導により高度な造形技術を学ぶことができます。自然素材に限らず、布や紙、ワックス、シリコン、既製品に至るまで、表現に用いる素材は多種多様です。自分の可能性を最大限に引き出せる環境が整っています。

自然や地域を最大限に活用

毎年秋におこなう「きこりワークショップ」など、アトリエの外に出て自然を利用した学びが多く、素材の発生?調達から立ち会うことができます。大学そのものが自然に囲まれており、その中で創作のイマジネーションを広げられるのも魅力。ものづくりの源流を体得できる環境があります。また授業で作った石彫作品を東北最大級の遊園地リナワールドの和風庭園に設置するなど、作品を通して地域と関わる機会にあふれています。

制作と思考を互いに高め合う対話型授業

制作の積み重ねで獲得した個の造形力をさらに展開して社会に発信するために、3年生からは思考と言語を磨いていきます。コンセプトの立ち上げ方や作品のプランニング、他者への伝え方を教員との対話を重ねながら学修。作品だけではなく、自分の興味や研究対象を同級生同士で教え合う「彫刻ディスカッション」によってさらに成長していきます。また同時に、枠にとらわれない作品制作を通して可能性を大きく広げ、彫刻の意義を社会に問いかけます。

表現の幅を広げる横断的?実践的な学修

縦糸となる専門的な彫刻のカリキュラムに、横糸として美術科での横断型授業が組まれています。美術全般的な技術と知識や、他の専門分野の表現方法についても学べる貴重な機会。作品制作以外にもポートフォリオ作りや写真撮影、展覧会の企画?運営など、社会で役立つ実践力を他コースの学生と一緒に段階的に学びます。自分自身の生かし方について、広い視野を持って主体的に考え行動する力が身に付きます。

Curriculum

授業紹介

開放的な環境で豊かな感性を磨きながら、立体工房を最大限に活用して造形力を身に付けます。作品制作とともに、対話を通して思考を深める授業や地域での活動を取り入れた実践的な学びを展開。ものづくりの源流を体得し、自己の表現を極めていきます。


1年次

感性を見つけ開拓する

彫刻制作にとって大切なのは豊かな感受性と想像力。アトリエに隣接する開放的な自然環境でイメージを広げる導入授業「自然からの造形」をはじめとして、粘土による制作とデッサンを繰り返しながら基礎的な造形力を養います。後期からは、石膏による型取り法を学び、粘土で等身大サイズの作品制作を行います。構想から作品として実現するプロセスや造形概念を理解し、空間についての認識も深めます。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 実践 〉
前期
  • 美術概論
  • 美術基礎演習(発想)
  • 美術基礎演習(造形)
    『彫塑』『デッサン』
  • 美術基礎演習(発想)
    『粘土制作とドローイングで感覚を養う「自然からの造形」』
  • コンピュータ基礎演習
後期
  • 美術素材学
  • 彫刻基礎演習(型取り)
    『石膏による型取りと材質転換を学ぶ』
  • 彫刻基礎演習(等身塑像)
    『粘土による等身大の作品制作』
  • きこりワークショップ

2年次

本格的な彫刻技術を習得する

作品制作の幅を広げるために、石彫、金属彫刻、木彫、水性樹脂、シリコン型での複製、3D CADなど多様な技法を学びます。それぞれの特性を理解し、さまざまな道具や機材を扱いながら基本的な技術を習得します。専門工房を最大限に使った制作では協働の場面も多くあります。石彫作品の設置、山間部での樵(きこり)ワークショップ、フィールドワークなど、地域社会に関わるテーマを設けながら実践力も同時に身に付けます。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 実践 〉
前期
  • 近代美術史
  • 現代美術史
  • キャリア形成論
  • 彫刻技法演習(石彫)
    『石彫技術習得と作品制作「東北の四季の中で」』
  • 彫刻技法演習(金属)
    『鉄材加工の技術習得と作品制作「発見と再構成」』
  • 石彫作品設置
  • 溶接技能講習
後期
  • 展覧会制作概論
  • 彫刻技法演習(木彫)
    『木彫技術習得と作品制作「土地の物語」』
  • 彫刻技法演習(多素材)
    『3DCAD、シリコン型、水性樹脂、塗装の技術習得』
  • きこりワークショップ
  • セルフプロデュース入門
  • セルフプロデュース実践

3年次

多様な表現を獲得する

各自の個性?方向性を展開する重要な時期と位置付け、興味の対象の調査?収集、様々な実験的制作、ディスカッションなどを通して深掘りし、価値観を拡張します。また、制作と並行して教員?同級生とのディスカッションを重ねるなかで4年次へつながる研究テーマを見つけ出し、歴史との比較、社会との関わりや現代性についても考察します。

  〈 講義 〉 〈 演習 〉 〈 実践 〉
前期
  • アートキャリア論
  • アートメディア演習
    『先端的なアートメディアを選択して学ぶ』
  • 彫刻応用演習1
    『テーマ研究①テーマを見つけて深める』
  • 彫刻応用演習2
    『テーマ研究②テーマをカタチにする』
 
後期
  • アーティストマネジメント
  • 彫刻応用演習3
    『テーマ研究③空間との関わりを考える』
  • 彫刻応用演習2
    『テーマ研究④テーマの意義を見出す』
  • 彫刻ディスカッション

4年次

独自の造形価値観を発信する

スケール感のある作品制作に向かう時間はまさに4年間の集大成。これまで培ってきた彫刻のさまざまな造形要素を糧に、さらに専門性を深めながら確固たる独自性を自身の作品へ昇華していきます。卒業制作展に向けて前期から展示構成を視野に入れて計画的に進め、批評的な視点を持って現代を捉えながら質の高い作品制作を目指します。

? 〈 演習 〉 〈 実践 〉
前期
  • 彫刻研究1
    『卒業制作①プランニング?実制作?展示構成』
  • 新4年生展
  • TUAD Incubation Program(TIP)
    『アーティスト養成プログラム』
後期
  • 彫刻研究2
    『卒業制作②4年間の集大成』
?

活動 Pick Up!


樵(きこり)ワークショップ|彫刻刻技法演習(木彫)

大学の裏手?西蔵王高原の山間地区で毎年秋に「樵WS」を開催。2年後期の木彫演習の一環として材料調達の現場を自ら体験し、木という生命の尊さを実感します。コースの学生全員で協働して伐採し、木材は木彫制作で使用します。

遊園地に石彫作品を設置|彫刻技法演習(石彫)

2年前期の石彫演習では、東北最大級の遊園地リナワールドに完成作品を設置。東北の四季をテーマに作品を彫り上げ、公共の場での設置作業を体験します。空間(場所)と時間(季節)を感じながら彫刻を社会に生かします。


3Dデジタル造形|彫刻技法演習(多素材)

2年後期にはCADによる3Dデジタル造形の基礎も学びます。実素材による彫刻制作の体験がデジタル空間でも生かされます。作成したデータは3Dプリンター出力の他に、作品のシミュレーションやプレゼンテーションとしても活用できます。

鮭川村きのこジオラマ制作|地域連携プロジェクト

「きのこ王国」山形県鮭川村の観光PRのために、洋画?彫刻コースで協働して7mの巨大ジオラマを設置。学生たちでアイデアを練り、半年かけて制作。リアルな造形が大きな話題となりました。社会の期待に応え、解決する力を培います。


Career

進路

取得可能な資格

卒業時取得可能資格

小学校教諭一種免許状、中学校教諭一種免許状(美術)、高等学校教諭一種免許(美術)、学芸員
※指定の科目を受講することで取得できます。

進路一覧

【作家?進学】東北芸術工科大学大学院/彫刻家/現代美術家/陶芸家/デザイナー/アートディレクター など

【教員?公務員】山形県立高校/山形県立中学校/寒河江市立中学校/千葉県立高校/埼玉県立高校/さいたま市立中学校/羽島市立中学校/阿佐ヶ谷美術専門学校/湘南美術学院/小鹿野町役場 など

【専門職】(自動車クレイモデラー)日産自動車株式会社、スズキ株式会社、本田技研工業株式会社/(自営)大工/(職人)古一漆工/(鋳造)株式会社鈴木鋳造所/(仏像修復)株式会社平安美術/(仏具製造)株式会社保志/(マネキン製造)株式会社モード工芸/(フィギュア)株式会社グッドスマイルカンパニー/(造形、大道具)株式会社せん工房、R-STYLE株式会社、有限会社光製作所/(遊具?モニュメント制作)株式会社アンス/(看板デザイン)株式会社日の丸ディスプレー、株式会社クリエイティブダイワ/(ゲーム制作)株式会社トランスリミット/(CAD)東北パイオニア株式会社/(船舶製造)木戸浦造船株式会社/(塗装)株式会社建塗テクノ/(地域活性)株式会社まちづくりまんぼう など

【総合職、その他企業】株式会社荘内銀行、株式会社東日本朝日広告社、株式会社メンバーズ、株式会社日立ソリューションズ、東北電化工業株式会社、山形酸素株式会社、イカリ消毒株式会社、株式会社イシイコーポレーション、株式会社カインズ、アークランドサカモト株式会社、グラントマト株式会社、イオンバイク株式会社、明治屋産業株式会社、紅屋商事株式会社、株式会社リプライ、株式会社銀山荘、株式会社ベネッセスタイルケア、社会福祉法人敬寿会、JAてんどう など

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Professor

教員紹介

吉賀 伸 コース長

Yoshika Shin
教授/塑造?陶彫

彫刻で培う造形感覚と柔軟な思考力。
個の力が新しい社会のカタチを作る。

彫刻コースの創作の原点は「何かを作りたい」「カタチにしてみたい」という率直な衝動や欲求です。さまざまな作品制作を通して、皆さんの内にある野性的?自然発生的な感性を洗練し、他者との関わりや芸術の意義に触れながら、未来を切り開く力へと昇華します。美術の枠に閉じない実践的なカリキュラムによって、彫刻家やアーティストだけでなく、広く社会のさまざまな現場で活躍できる人物の育成を目指しています。彫刻を学んで身に付く力は、さまざまな素材を扱う中で培う造形感覚、そして制作と対話によって深める思考力です。この2つの化学反応によって、オリジナリティあふれるものを自ら作り出せるようになり、物事の構造や成り立ちをさまざまな観点から発見して問題提起ができるようになるのです。これからの新しい生活様式の在り方や先端的な技術の扱い方を考える上で、人間がもともと備えている個の力の価値は見直されるでしょう。ぜひ一緒に彫刻を学び、豊かな未来を築きませんか。

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