建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

ドールハウスの価値-世代を超える人形の家の魅力とは-
石井映月
山形県出身
志村直愛ゼミ

目次 研究の目的/価値と魅力/これからのドールハウスの課題 

 子供向けの玩具として用いられることが多いドールハウスは、リカちゃんハウスやシルバニアファミリー(図1)を筆頭に様々なキャラクターのものがある。リカちゃんは誕生から50年以上経った今もなお女の子向けの玩具として愛されており、シルバニアファミリーは50の国と地域で発売されている。近年は大人向けのドールハウスも流行している。この現状を踏まえ、本研究では、なぜドールハウスが幅広い世代の人々を魅了し続けているのかを探り、どのような価値があるのか明らかにしていくことを目的とする。同時に、ドールハウスを通して、建築を堅い印象から身近なモノだと認識させ、興味を持ちやすくすることも目的に定める。
 研究の結果、ドールハウスには、遊ぶ?つくる?鑑賞する?集める?学ぶという機能的価値があることがわかった。また、日本のドールハウスは日本人好みのデザインとなっていることも魅力のひとつとなっている。さらに、建築や空間、インテリアへの興味?関心が高まることと、想像力を高める教育的価値がある。非現実的な空間で、現在や未来の自分自身の願望を含む自らが生み出したストーリーに沿って人形を動かし、それに自分を重ね疑似体験できることが子供にも大人にも魅力になっており、これらが幅広い年代の人々を魅了する最大の理由である。このように、自分自身の願望込みではあるが、ドールの気持ちや生活を想像してドールのための空間を生み出したり、ドールに自分を重ね、自分の理想の生活を疑似体験したりすることで、ドールと家、自分自身と家?建築がいかに身近な繋がりであるか再認識できるのではないかと推測できる。
 しかし、ドールハウスは女児が遊ぶモノという印象が大きい点が課題として挙げられる。ジェンダーレスが進むと考えられるこれからの時代において、男女関係なく誰でも気軽に遊ぶことができるドールハウスがあっても良いのではないかと感じた。今後は年代や国、地域だけでなく、性別をも超えるドールハウスのさらなる飛躍に期待したい。

図1 はじめてのシルバニアファミリー