建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

[優秀賞]
草刈咲樹|石巻寿町通りをまちやどに
宮城県出身
竹内昌義ゼミ

宮城県石巻市は、豊富な観光資源と地元市民こそ知る隠れた名スポットに溢れている。震災からの復興も進み、街は以前の活気を取り戻しつつあることから、これからは石巻へ復興ボランティアではなく、観光客としてたくさんの人に訪れてほしい。そんな思いから、新しい宿泊施設「まちやど」を提案する。空き店舗や空き地となってしまった建物をリノベーションし、寿町通りを一つの宿と見立てた、地域性溢れる宿泊施設を目指す。


竹内昌義 教授 評
東日本大震災で大きな被害を受け、復興しつつある石巻で、現在残された建物のリノベーションと新しく設計する建物で、町の人と観光で訪れた外の人の両方を対象とした「まちやど」を作るというプロジェクトである。建物を丁寧な調査とリノベーションで新たな役割を与えた。たとえば、まちの記憶を残した楽器屋さんの2階はゲストルームに。新しい建築の銭湯はまちの人と訪れた人のコミュニケーションの場をつくった。そして、それぞれを車両の進入を制限して、そぞろ歩きができる街路空間で繋ぎ止めた。卒業設計ではリアリティよりもイマジナリーなものが評価されがちだが、リアリティのある地道な取り組みも評価されていいように思う。リアルな仕事になったらきっとその建築家は、限られた資源を編集して、こう展開させていくだろうなという案である。プレゼンテーションは現実の写真とプロジェクトのCGがオーバーレイされうまくマージされているので、一見、どこを設計したかわかりにくいほどである。