文芸学科Department of Literary Arts

かくしごと
結城穂香
玉井建也ゼミ

 Q.好きで好きでしょうがない人が全然こっちを見てくれません。
【#1】――ということで、私の親友とつきあってください!」
 幼馴染?六夏(りっか)に痺れを切らした楠木はるは、六夏の友人?智秋(ちあき)に協力を依頼する。はるの親友?冬羽(とわ)と智秋をくっつけて、自然と六夏がはるに告白する綺麗な流れを作る作戦。理解ができない智秋はもちろん非協力的。色々作戦を持ち出すはるだが全てが空回り。作戦相手には最適な智秋だが、人としては好きになれないはる。相変わらず六夏とは平行線で、冬羽には智秋との関係を疑われるも詳しいことを話せず亀裂が入っていく。丸く治めたいものの、諦める選択をなかなかできないでいるはる。そんな彼女に「別にそのままでいいじゃん」と智秋が声をかける。その言葉にはるはほんの少し救われ、自分の気持ちと向き合い始める。
【#2】「――両想いには勝てないよね」
 はるに好きな人をずっと言えないでいる冬羽。両片想いの二人を傍で見ていたから、周りの嫌気が差すほどの祝福モードも相手の好意を自覚してない当人たちにも思うことはたくさんあるが、慣れた、と片付けていた。ただ、二人がお互いの気持ちに気づく前にこちらを振り向いてほしかった。その一歩として文化祭スタッフに関わるが、二人をくっつける周りの思惑を知り、失敗に終わってしまう。それに加え、いつも以上に二人を意識して、嫉妬して、いつも以上に浮かれた周りの空気に馴染めず、傷が増えていく。偶然、彼に近づくチャンスが訪れるものの隠しきれていない彼の気持ちを知ってしまう。仲間だと思っていた智秋は一向に諦める気配がなく、ついに怒りを感じてしまう。