建築?環境デザイン学科Department of Architecture and Environmental Design

仙台市におけるニュータウンの現状 -ニュータウンの分類?比較-
高橋潤
宮城県出身 
三浦秀一 ゼミ

 仙台市はニュータウンの数が全国の市町村の中で3番目に多い。しかし開発から数十年が経過したニュータウンでは「オールドタウン」化が進んでいる。仙台市に存在する55のニュータウンから25箇所を対象として調査を行い、オールドタウン化の現状と課題について考察する。
 対象のニュータウンを造成後に経過した年数10年ごとに区切って分類し、それぞれの合計人口の推移を調査した。結果、41年以上及び31年から40年が経過したニュータウンでは早い段階から人口が減小していることがわかった。また、21年から30年が経過したニュータウンでは現在が人口のピークであることがわかった。さらに同じ分類にてそれぞれの人口を合計し住民の年齢層を調査した。結果、41年以上及び31年から40年が経過したニュータウンでは子世代の流出?親世代の高齢化が進んでいることがわかった(No.1)。要するに仙台市といえど、郊外の古いニュータウンでは人口減少及び高齢化が深刻な問題となっている。
 仙台市のニュータウンを2つの基準から5つのパターンに分けて比較した。基準の1つは周辺環境。周囲に連担して市街地が形成されているかどうか。加えて周囲1km以内に駅があるか。もう1つの基準は開発規模。計画人口の平均である7000人より多いものを大規模、少ないものを小規模とする。このようにしてできたパターンを調査すると、小規模な島状のニュータウンと、駅近のニュータウンでは他のパターンとは違う変化が起きていることがわかった。小規模なニュータウンでは売れ残っている空き地が多いがその代わりに長い年月をかけて住民が転入してきており、幅広い年齢層が住み、人口も増加傾向にある(No.2.3)。駅近のニュータウンではアパートやマンションなどの賃貸の物件が比較的多く、学生や社会人からの需要が高く、高齢化率が低くなっている。大規模なニュータウンや連担しているニュータウンであっても同様に人口減少、高齢化が進行している中でこの2つのパターンではこうした流れに対抗している。
 売り方と住宅の種類によって住む人の性質や流動性、年齢層が変わる。これがニュータウンの持続可能性を高める1つの手段ではないだろうか。

No1.古いニュータウンの年齢層の変化

No2.赤坂の年齢層の変化

No3.赤坂のニュータウンの売れ残り